死生観を実践に結びつける5つの智慧

はじめに

ある日、私はふと「自分の残りの時間はどれくらいだろう」と考えました。75歳になり、体力の衰えを少しずつ感じるようになったこともあります。でも、怖さよりも「残された時間をどう使うか」のほうが気になったのです。

このブログでは、私が日々の生活の中で意識している「死生観を実践につなげる5つの智慧」を紹介します。
読む人の心に、小さな灯がともるような内容にしたいと思っています。

第1章:ピンピンコロリの智慧

ピンピンコロリは、私の願いです。
最期まで元気に活動し、ある日ふっと眠るように旅立つ。そんな生き方ができたなら、どれほど幸せだろうと、私は折に触れて思います。

数年前、友人の一人が突然の病で倒れました。発症したその日から入院し、結局、自宅に戻ることなく逝ってしまったのです。私と同世代であり、亡くなったのは70代の初めでした。その知らせを聞いたとき、胸の奥が締め付けられるような思いでした。一緒に過ごした彼の人生を思い返すと同時に、「自分はどう最期を迎えたいか」という問いが、私の中に強く残りました。

それ以来、私は「ピンピンコロリ」を意識して暮らしています。朝は近所の神社に15分かけて歩くのが日課となっています。
季節ごとに変わる周りの景色、花や鳥の声に気づくたびにこうして体が動くことのありがたさを感じます。
食事も努めて野菜を多く取り、腹八分目を守るようにしています。
夜はできるだけ早い時間に布団に入る。小さな習慣を積み重ねることが、元気に生きる力を支えてくれるのです。

「ピンピンコロリ」は単なる理想の死に方ではありません。
そのための準備を、今この瞬間からどう生きるかという姿勢に変えることそれが私の実践している智慧なのです。

第2章:残り1年を意識した生き方

時期は何時なのか、私はふと思いました。「もし余命1年しかなかったら、何をするだろう」。
その夜、私は小さな机にノートを広げ、思いつく限りやりたいことを書き出してみました。
会いたい人、行きたい場所、やりたい趣味等々紙いっぱいに書いてみました。

翌日、まず一番身近な行動から始めました。長く会っていなかった旧友に電話をかけ、昔話に花を咲かせたのです。
その日の帰り道、空がオレンジ色に染まる中、私は「今日行動してよかった」と胸が温かくなるのを感じました。
残り時間を意識することで、人生の優先順位が自然と見えてくるのです。

第3章:忘れられない生き方とは何か

またある日、孫が私の古いアルバムを開いて、楽しそうに笑っていました。
ページには孫が小さかった頃の写真や、私が書いた小さなメモが挟まれていました。
その時、「こうして誰かの記憶に残ることこそ、本当の生きた証なのだ」と思いました。

私は其れ以来、日々の気づきを小さなノートに書き留めています。「今日は散歩中に猫を見かけて和んだ」とか、「孫におやつを作った」とか、ほんの些細なことです。でも、これが未来の誰かの記憶の中に残るかもしれない。

忘れられない生き方とは、特別な功績ではなく、温かい思い出を作ることだと気づいたのです。

第4章:死を意識するマインドフルネス

私は天気の良い日にはベランダに出て、やわらかな陽の光を浴びます。
両手を広げて深呼吸をすると、「今日も新しい一日を迎えられたこと」に感謝の思いが自然と湧いてきます。
もしこれが最後の朝だったとしても、この光と空気を味わえることは、何よりの恵みだと思えるのです。

先日、それを見ていた孫が、笑いながら「おじいちゃん、太陽に話しかけてるの?」と聞いてきました。
私は「そうだよ、ありがとうって言ってるんだ」と答えると、孫も真似をして一緒に両手を広げました。
その光景に胸が温かくなり、「こうした一瞬こそが人生の宝物だ」と改めて感じました。

朝の光に感謝しながら過ごすと、家族の穏やかな寝顔も、かけがえのない贈り物のように思えてきます。
私はそこで再び自分に問いかけます――「今日が最後の日なら、何を大切にするだろう」と。

食事をひと口ずつ味わい、人に出会えば心を込めて「ありがとう」と伝える。
死を意識することは重苦しいことではなく、むしろ日常を小さな奇跡の連続として輝かせてくれるのです。

第5章:死生観が与えるつながりの力

ある日、都内での昼食を取りながら昔からの友人と話していました。話題は何気ない日常のことですが、ふとした瞬間、笑い声が部屋いっぱいに広がりました。そのとき、心の底から思いました。「死んでも、人とのつながりは消えない」

だから、私は意識的に人との縁を大切にしています。毎日思いつく一人に「ありがとう」と伝える。会いたい人に連絡する。地域の活動にも少しずつ参加して、人との関わりを育てる。

最期の時、私が振り返るのは、やはり人との温かい時間です。死を意識することは、孤独を感じるどころか、より深く人とつながる力をくれるのです。

おわりに

死生観を深めることは、人生を諦めることではありません。むしろ、今をどう生きるかを照らす灯です。

小さな習慣、残り時間の意識、思い出を残す工夫、日々の気づきを大切にすること、人とのつながり――
これらを生活に取り入れることで、死を恐れる気持ちは薄れ、今日をより豊かに生きる力が湧いてきます。

死生観とは、死に備えるためのものではなく、今を生き切るためのもの。私はそう信じています。

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