70代からの心の整え方:穏やかな心で過ごすための5つの簡単習慣

~穏やかな毎日のためのヒント~

1. 心の平安とは何か?

心の平安とは、単に「悩みが一つもない状態」を指すのではありません。それは、「外の世界で何が起きても、自分の心の中心が静かで、揺れ動かない状態」のことを指します。

私たちは人生の中で、必ず喜びと悲しみの両方を経験します。特に、年を重ねると、長年連れ添った家族との別れ、思うように動かない体の不調、退職による生活リズムの大きな変化など、心がざわつく、避けられない出来事が増えてきます。

しかし、そんな激しい波に揉まれるような状況でも、「落ち着いた心」を保つことができれば、出来事を冷静に受け止められるようになります。それは、出来事をありのままに認め、自分の中で消化するための重要な力です。

たとえば、心の平安があるからこそ、私たちはこんな風に「受け流す力」を発揮できるのです。

  • 天候の変化: 予定していた外出が雨で中止になっても、「今日は家でのんびり読書する、神様がくれた休息日だ」と思える。
  • 過去の出来事: 昔の失敗や決断を思い出しても、「今、この経験や知恵があるのは、あの回り道のおかげだ」と感謝をもって受け止められる。
  • 人間関係: 人の心ない言葉に傷ついたときも、すぐに感情的に反応せず、「相手にも、何か大変な事情やストレスがあったのかもしれない」と考えられる。

心の平安とは、自分の機嫌を自分で取る力、自分で人生のハンドルを握り続ける力なのです。この力を育てれば、いつまでも幸せに満たされた生活を送れるでしょう。

2. なぜ心の平安が大切なのか?

高齢期は、孫の成長を見届けたり、長年の趣味を深めたりと、まさに人生の収穫期とも言える大切な時間です。しかし、同時に体力や記憶力の低下、社会とのつながりの減少といった変化に直面し、心が不安定になりやすい時期でもあります。

この時期に不安やストレスが長く続くと、心だけでなく身体にも深刻な影響が現れてきます。

心が不安定な状態が続くと心が穏やかで安定していると
身体への悪影響身体への良い影響
血圧が上がり、心臓に負担がかかり、生活習慣病のリスクが高まる血流がよくなり体調も安定し、慢性的な痛みが和らぐ
睡眠の質が悪くなり、疲れが取れない深い眠りにつけ、疲労が回復しやすくなる
記憶力や集中力が低下し、認知機能の低下にもつながりかねない免疫力が高まり病気にかかりにくくなり、毎日を前向きに過ごせる

つまり、心の平安は、単に気持ちの問題ではありません。それは、老化のスピードを緩め、人生の質(QOL)を高く維持するための「健康の土台」そのものです。

心が穏やかでいれば、些細な日常の出来事にも感謝できるようになり、自然と笑顔が増えます。この良い循環は、あなた自身だけでなく、周りの大切な家族にも伝わっていくでしょう。心の平安は、あなたとあなたの周りの人々にとっての「幸せの入り口」なのです。

3. 心の平安を得るための方法(心のメンテナンス・チェックリスト)

3-1. 毎日決まった習慣をつくる

心は「リズム」を最も好みます。毎日同じような流れで生活することで、心に「ここは安全だ」という安心感がもたらされ、余計な不安を感じにくくなります。

例えば、**「完璧ではないけれど、私だけの心地よい流れ」**を生活に取り入れてみてください。

  • 朝6時に起きて、ゆっくり白湯を飲む
  • 7時に近所を軽く散歩する(たとえ5分でもOK)
  • 9時に新聞を読みながらお気に入りのマグカップでお茶を飲む
  • 午後は手芸や読書など、没頭できる趣味の時間
  • 夜9時には布団に入って深呼吸し、今日一日を振り返る

このような「毎日繰り返す流れ」は、心に大きな安心感をもたらします。特に、朝のスタートが整っていると、その後の1日が自動操縦のように穏やかに流れやすくなります。

【今日からできること】 朝、決まった時間に一杯のコーヒーを飲む、ストレッチを3分行うなど、小さな習慣を一つだけ決めてみましょう。完璧を目指さなくていい。体調が悪くて休んだ日があっても、自分を責めず、次の日からまた淡々と始めればOKです。

3-2. 深呼吸で心を今に戻す(マインドフルネス)

心がざわついているとき、私たちの頭の中は自動的に「過去の後悔」や「まだ起こってもいない未来の不安」でいっぱいになります。これは脳の習慣であり、意識的に止めなければ止まりません。

そんなときこそ、「今ここ」に意識を向ける練習が大切です。これは専門的にはマインドフルネスとも呼ばれますが、要は「呼吸」という「今、この瞬間に起きていること」に集中するシンプルな方法です。

やり方(簡単な呼吸法)

  1. 静かな場所に座る(椅子でもOK)。足の裏が地面についている感覚を意識する。
  2. 目を軽く閉じ、背筋を伸ばす。
  3. 鼻からゆっくり息を吸う(3秒)。お腹が膨らむのをそっと感じる。
  4. 口からゆっくり息を吐く(5秒)。吐く息に意識を集中し、「体の緊張が抜けていく」イメージを持つ。

たった1〜2分でも、これを繰り返すうちに「心が今という瞬間に戻る感覚」が育ってきます。不安を感じたら、「ああ、今、私は不安を感じている」と客観的に認めるだけで、心が少しずつ静かになっていくのを感じられるでしょう。

3-3. 誰かと話す:心のデトックス

「ちょっと聞いてくれる?」「今日スーパーでね、こんなことがあったの…」こんな何気ない世間話が、心の緊張をほどき、頭の中を整理してくれる心のデトックスになります。

高齢になると、配偶者との別れや地域からの孤立により、人との交流が減り、孤独感が強まることがあります。誰にも言えずに抱え込んだ悩みは、風船のように膨らんで心を圧迫してしまいます。

だからこそ、意識して「人とつながる時間」をつくりましょう。会話の内容は、人生を語るような重い話である必要は全くありません。

  • 地域のサロンや喫茶店に週に一度顔を出す
  • 図書館や公民館のイベントに参加する
  • 子や孫に「たわいない話がしたいから、5分だけ電話してみようか」と声をかける

「話せる相手がいる」「聞いてくれる人がいる」という安心感こそが、心の平安を支える大きな柱となります。

3-4. 自分を責めない:自己肯定感を育む

「昔はもっとできたのに…」「こんなことも忘れるなんて、情けない」そんなふうに、自分に厳しくしていませんか?

年を重ねれば、体力も記憶力も自然と変化します。それは**当然のことであり、恥ずかしいことではありません。**自分に厳しくするよりも、優しく接する時間を増やしましょう。

意識を「できなくなったこと」から「今できること」へ向ける練習をします。

  • 「料理は無理だけど、レシピを見て献立を考えるのは楽しい」
  • 「激しい運動はつらいけど、日向ぼっこしながら庭の草木を眺めるのは気持ちがいい」

そして何より、「ここまで生きてきた自分」を、心からねぎらってあげてください。あなたは十分に頑張って、様々な困難を乗り越えてきました。この「ありのままの自分」を受け入れ、ねぎらうことこそが、あなた自身の自己肯定感を育む、最も優しい栄養なのです。

3-5. 感謝を見つける:静けさの種まき

感謝の気持ちは、心に静けさを呼び込む最も簡単な方法です。しかも、それは壮大な出来事である必要はありません。日常に潜む「小さな幸せ」の発見が鍵となります。

  • 朝日がきれいだった
  • お茶が喉を潤して美味しかった
  • 近所を歩いているとき、鳥のさえずりが聞こえた

こうした小さな喜びに気づく練習をすると、心がだんだんと温かく、穏やかになっていくのを感じられます。

【今日からできること】 毎晩寝る前に、「今日ありがたかったこと」を3つだけ思い出す時間を作りましょう。紙に書くとさらに効果的です。この習慣は、あなたの心に静けさという名の「幸せの種」を毎日まき続けることになります。

4. おわりに ~穏やかな心は人生の宝物~

年を重ねる今だからこそ、「心の平安」を大切にすることが、人生を豊かにするカギになります。

若いころのように急がなくてもいい。完璧でなくてもいい。他人の基準と比べる必要もありません。

今ここにある小さな幸せを見つけながら、ゆったりと過ごす――それこそが、人生の最終章を美しく彩る「心のあり方」ではないでしょうか。

【最初の一歩を踏み出すために】

あなたにとって、今日できる最も小さな「心の平安」のための行動は何でしょうか? お気に入りの飲み物を、スマホを置いた場所で、ゆっくり5分かけて飲む、それだけで十分です。 このブログが、あなたの毎日を穏やかにするきっかけになりますように。

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