
〜今75歳の私が実感している働くことの心身への驚くべき効能〜
1. はじめに:働けることは、生きている証し
75歳という今、私は静かに、そして確かに感じています。「年を重ねた今こそ、私はまだ“誰かの役に立てる”」との思い!
一昔前なら、「もう働かなくていい歳」と言われていたかもしれません。
けれど私は、「働けることは、生きていることそのもの」だと実感しています。
むしろ、今の自分だからこそ、伝えられること、支えられる人がいる——そんな思いが日々、私の背中を押してくれます。
働くという行為は、経済的な意味を超えて、自分自身の価値を感じられる時間です。
心が晴れやかになり、身体にハリが生まれ、人とのふれあいの中で笑顔が増える。
それは、歳を重ねたからこそ得られる、人生のごほうびのような時間なのかもしれません。
この記事では、私自身の体験をもとに、なぜ高齢になっても働くことが心と体にとってこんなにも良いものなのか、そして「自分はまだまだ大丈夫」と思える理由を、丁寧にお伝えしたいと思います。
これからをもっと自分らしく、誇らしく生きたいと願うすべての方へ。
“働ける私”に、ありがとう。
そんな思いを込めて、今の私の想いを表現できればと考えています。
2.なぜ仕事は心の健康に効くのか
高齢期になると、多くの人が「役割の喪失」を感じます。
職場を離れ、子育ても終わり、誰かに必要とされる場が減る——そのとき、心の支えを失ったような空虚感を覚えるのです。
私は、現在、週に毎日でありませんが数回の仕事を通じて、次の3つを強く実感しています。
1. 毎日に“意味”が生まれる
人は、「今日はこれをやろう」という予定があるだけで心が落ち着きます。
仕事がある日は、早起きの動機にもなり、身だしなみにも気を配るようになります。
この日々の目的意識が、心にリズムをもたらすのです。
2. 自分の存在を肯定できる
職場での同僚との会話で、何気ない「ありがとう」「助かりました」と声をかけられることがあります。
その一言が、「まだ自分は誰かの役に立てる」という自己肯定感を取り戻してくれます。
これは、心の健康を支える大きな栄養です。
3. 孤独感からの回復
働くことで、意図せずとも人との会話や挨拶が生まれます。
たとえ雑談でも、「誰かとつながっている」という感覚は、孤独の重さを軽くしてくれるのです。
3.体も頭も若く保つ“仕事の刺激”
身体は使わないと衰えます。頭も同じです。仕事はその両方に、適度な“刺激”を与えてくれる最良のリハビリなのです。
1. 生活リズムが整う
仕事があると、決まった時間に起き、食べ、動くようになります。
この規則性が睡眠の質を向上させ、血圧や血糖値の安定にもつながることが、近年の研究でも明らかになっています。
2. 「動くこと」が自然に増える
通勤や移動、業務中のちょっとした動作が、高齢者にとっての運動の代替になります。
運動不足は、認知機能や筋力の低下に直結しますが、仕事はそれを防いでくれるのです。
3. 脳が鍛えられる
業務の段取り、人とのやりとり、ちょっとしたトラブル対応等こうした日常の判断や記憶が、前頭前野や海馬(記憶に関係する脳の部位)を活性化します。
いわば「自然な脳トレ」なのです。テレビを眺めるだけの日々とは、脳の使われ方がまったく違います。
4. 年齢を超えて活躍するシニアの事例
私の身近にも、「生涯現役」を実践する仲間がいます。年齢も境遇もさまざまですが、皆に共通するのは、生き生きとした表情です。
●週2回、近所の保育園で絵本を読む元校長先生(78歳)
「子どもたちの笑顔が、僕の元気の源です」と話してくれました。
● 手芸好きが高じてネット販売を始めた主婦(74歳)
「やることがあるって、こんなに楽しいのね」と、毎日手を動かしています。
● パソコン初心者から独学で事務作業を始めた男性(80歳)
「時代の流れに乗れているのが嬉しい」と、Zoom会議にも挑戦中しています。
誰もが最初から自信があったわけではありません。「やってみようかな」と一歩を踏み出したことが、人生の“第2章”を開いているのです。
5. おわりに:大切なのは、“役割”と“つながり”があるという誇り
高齢になると、「もう無理をせず、のんびり過ごすのが一番」と言われることがあります。
けれど私は、そうした“楽をする”生き方が、かえって心と体を弱らせてしまうことを身をもって感じてきました。
ほんの小さな責任でも、誰かの役に立つことがあると、人は心の奥から輝き出すのです。
それは、「私はここにいていい」「私はまだ社会の一部だ」と思える、何よりの自己肯定感につながります。
「働く」とは、単にお金を得ることではありません。むしろ、次のような「生きる喜び”を実感する行為」だと、今の私は確信しています。
- 誰かと関わりを持ち、心を通わせる
- 自分の持つ経験や知恵が、誰かのため役に立つことがある
- 明日に向けて、何かを準備する楽しみがある
75歳という年齢は、終わりではなく、自己の成長と再出発の入り口です。
これまでの人生で培ってきたものを、今こそ人と分かち合う時なのです。
仕事という形で、社会ともう一度つながることは、自分をもっと好きになるための、尊い営みです。
私は今、75年の人生を歩んできたからこそ、「働くことが生きる力そのものだった」と、誇りをもって言えます。
あなたにも、あなたにしかできない役割が、きっとあります。
その小さな灯を大切にしながら、これからの人生を、もっと温かく、もっと自分らしく歩んでいきましょう。